情熱大陸風:新年の挨拶/赤ちゃんの朝は早い

大阪府○○市。

京阪電車が家の前を走る住宅街の一角。

ここに一件の新築二世帯住宅がある。

赤ちゃん>>ゆうと君のお家である。

世界でも有数の可愛さを誇る赤ちゃん、彼の仕事は決して世間に知らされるものではない。

三十路男は、赤ちゃんの1日を追った。

~06:00~

三十路さん
朝、早いですね
ゆうと君
ははは、ボクが起きれば皆が起きますからね。ボクが泣いたらすぐに起きてきて貰う事、これが大切なんです

日が登り始めた頃、パパとママが行動する前からゆうと君は泣き始める。

ゆうと君
あの2人がパパ・ママとして生活出来ているのも、ボクが産まれてきたお陰なんです。だから、ボクはボクのやりたいようにやらないと

そう語るゆうと君の目は何よりも真剣だ。赤ちゃんに一切の妥協はない。ゆうと君の誇りはそこにあるという。

三十路さん
これからお仕事ですか?
ゆうと君
いえ、違います、あ、いや、そうなのかな?もう公私混同しちゃって(笑)

朝の六時からみっちり30分、ゆうと君はギャン泣きをする。赤ちゃんを始めた時から、これを毎日続けている、と笑う。

ゆうと君
泣くのが仕事みたいなところがありますからね。大切なんですよ、これ
ゆうと君
ぎゃあああ

ママにおっぱいを強要するのも仕事の内だと語る。

三十路さん
月並みな質問ですが、この家の赤ちゃんになろうと思ったキッカケは?
ゆうと君
んー、何だろうなー、自分はもともと無職やってて、ある日ふいに何もしていない自分にもの凄く腹がたってきちゃって。ボクは可愛いから、いくつも産まれ先の候補はあったんですよ。でも、変な所に産まれて後悔したくないなって…すごいジレンマですよ。だったらいっそのこと本格的に自由に暴れられる赤ちゃんになっちゃおっかな?みたいな(笑)これしか生き方知らないしね

~06:30~

おっぱいでお腹が膨れたゆうと君は真っ先にタヌキ寝入りをかます。

三十路さん
休憩ですか?
ゆうと君
いえ、寝たふりをして2人の動向を探ったりなんかをね。この時間は2人共眠たいのか、すぐに布団に戻りたがりますから

~06:45~

赤ちゃんが抱っこを解かれる。置かれた先はふかふかの布団の上。この時を待っていたとばかりに手慣れた動きで体を反転、首を高く持ち上げて号泣。より遠くまで声を届かせる工夫である。

三十路さん
大変ですね
ゆうと君
いやぁ、ここで手を抜くと2人とも布団に戻ってしまいますから。

~07:00~

赤ちゃんは急に慌ただしく動き始めた。はめ込まれたあぐらの中で身体を大きくくねらせながら、下腹部に力を入れる。すぐに出来上がる朝カレー。これも赤ちゃんを始めた頃から変わらないという。

ゆうと君
効率の面もありますけど、パパのあぐらはトイレだと思い込んでる事のほうが大きいかな

一切の抜かりはなく、素早く出し切るゆうと君。時刻はまだ、七時半だ。

~07:30~

三十路さん
これからお仕事ですか?
ゆうと君
すいません、静かに

三十路男を諌める赤ちゃん。

ゆうと君
耳を済ましてください。音がほら、きた、きたきたきた、ほら音がするでしょう?機械音が

確かに遠くで機械音がする。

ゆうと君
ママが洗濯機を回す音なんですよ

この音を聞くと2人が今日の睡眠を諦めて行動を始めたと解るんですよ、と赤ちゃんは語る。

ゆうと君
ほら、こんな仕事でしょう?2人が深く寝入ってしまったらおっぱいにありつけないんじゃ無いかって不安になってる頃に、この音に気づいてね、それからは日課なんですよ

こうして炊事や洗濯をするパパ・ママの音を聞くことでおっぱいを確保した気分になる、と言う。赤ちゃんならではの、技である。

~07:45~

ゆうと君
ふぅ、もういいかな

沈黙を作ったのは、赤ちゃんであった。

ゆうと君
これ以上は危険ですからね。見極めが大切なんですよ

あまりグズグズ言い過ぎると、パパとママに見放される。赤ちゃんの生命をたたれる可能性がある危険な作業なのだ。

三十路さん
怖くは無いんですか?
ゆうと君
怖いといえばこわいですね。あと何年やれるか。わからない。その時どうなるのかも。ただ、続けたいですね。赤ちゃんで居る限りは

そう笑うゆうと君には、確かに、赤ちゃんの面影が見えた。

~08:00~

眠気を覚ます為に仮眠を取る赤ちゃん。睡眠と眠気覚ましを兼ねる。

ゆうと君
こうして浅い仮眠を小分けに取れば、2人ともボクがすぐに起きるかも?と思って監視を怠らないでしょう

熟練の技が光る。

三十路さん
監視を怠らないというと?
ゆうと君
赤ちゃんにとって一番怖いのは呼んでもおっぱいが飛んで来ない事なんです。だから、監視の手を緩めさせない事が大切なんです

~08:10~

眠りから覚めた赤ちゃんはおもむろに寝返りを打った。

三十路さん
これからギャン泣きですか?
ゆうと君
違いますよ、寝返りを繰り返す可愛い姿をパパとママに見せびらかすんです。そうすれば、朝のワガママを帳消しどころかゆうと君は可愛いってなるんですよ

赤ちゃん_1

この気配りこそが赤ちゃんならではの続ける秘訣である、とゆうと君は語る。

~09:00~

寝返りを終え、一通り愛想を振りまいた赤ちゃんが定位置に戻ってくる。

三十路さん
これからのご予定は?
ゆうと君
そうですね。まずは離乳食かな。今日食べるメニューはこれです

赤ちゃん_朝_早い_1

三十路さん
これは?
ゆうと君
これはお粥さんですね。メインは溶き汁みたいな物ですが、最近ではサツマイモやホウレン草も食べます。ニンジンは苦手です。全て成長する為には必要な食材なので重宝しています

赤ちゃんを続けるという覚悟と譲れないこだわり。ゆうと君の気持ちは離乳食にも現れていた。

~09:10~

離乳食に飽きた赤ちゃんが大暴れを始める。

ゆうと君
これから自分で口を拭くんですよ。全部を任せっきりでは流石に申し訳無いというのが半分、残り半分は自分の能力を高める為ですね

赤ちゃん_朝_早い_2

そうして首から下げられたスタイを縦横無尽に引っ張り倒す。毎日、これを繰り返しているというのだから、驚きである。

ゆうと君
よし。これから3時間くらい、パパ・ママに遊んで貰います
三十路さん
遊んで貰うと言うと?
ゆうと君
なーに、簡単ですよ。大きな声で泣けば飛んで来ます。遊んでくれなくなったら泣くを繰り返すだけの簡単なお仕事です。今日は珍しく2人居るから1人遊びは絶対にしません。余裕です

周りに聞こえない様、声のトーンと落としながら呟いた赤ちゃん。微笑む顔とは裏腹に、一切笑っていない目の奥が印象的であった。

~12:00~

つい数秒前まで声を出して喜んで居た赤ちゃんが大きな声で泣き叫んだ。

三十路さん
何か嫌な事でもされたのですか?
ゆうと君
いいえ、2人は必死になって良く頑張ってくれていますよ。しかしながら、空腹は別。これはママにおっぱいを要求する為に必要な行為なんです

流石はママ、アタフタするパパをよそ目に赤ちゃんにおっぱいをあげ始めた。

ゆうと君
ねっ。言った通りでしょ

そう言いながら赤ちゃんは15分かけておっぱいを吸い上げた。

三十路さん
1日に何回くらい吸いあげるのですか?
ゆうと君
んー、いい質問ですね。少し前までは粉ミルクを口にしていたんですが、最近では味が気にくわなくて飲みません。しかしながら、おっぱいを飲んでいると何故か眠くなってくるので、満腹になる前に飲むのを辞めてしまいます。なので遊んで貰っている時を除いて常に2時間を意識して泣き叫ぶ様に心がけて居ます

赤ちゃんの自己分析能力の高さに脱帽する三十路男であった。

~13:00~

今日一番のスマイルを投げかける赤ちゃんの姿。

三十路さん
それも何かの合図ですか?
ゆうと君
はい、これは機嫌がいいから散歩に出掛けよう。の合図です。以前、お出掛け先で不機嫌な顔をしてしまった事があったんです。それ以降、機嫌がいい時で無ければ散歩に連れ出して貰えなくなってしまって…アレは完全に私のミスでした

赤ちゃん_3

過去の失敗を未来へ活かす。赤ちゃんの応用力の高さに驚愕する三十路男であった。

~13:30~

一張羅に着替えて外出の準備を進める赤ちゃん。

三十路さん
今日はどちらへ?
ゆうと君
えーっと、解りません。散歩に関しては完全にパパ・ママに選択権を譲渡する形を取っています。使い分けってやつですね
ゆうと君
お散歩中は寝る時間なので、場所はどこでも構わないというのが本音ですが

あたかも選択権を譲っているかの様に振る舞う赤ちゃんの技がキラリと光った。

~17:00~

お散歩から戻った赤ちゃんは布団の上に降り立った。

赤ちゃん_2

三十路さん
このまま、お休みですか?
ゆうと君
ははは、そんな訳無いじゃないですか。これからお風呂までの時間、目一杯遊ぶ為の体力は散歩中に蓄えておきました。すぐさま大きな声で泣き叫びます

散歩で疲弊したパパ・ママに泣き声という名の鞭を振るう赤ちゃんの姿がそこにはあった。

~19:30~

遊んで貰い、おっぱいも飲んだハズの赤ちゃんがグズり始めた。

三十路さん
えっと、これは?
ゆうと君
時計を見て下さい。19時半でしょ?お風呂に入らなければイケナイ時間なんです。よりよい成長を促す為には、規則正しい生活を崩すわけにはいかないんです

常に成長を意識するあたり、流石という言葉しか出てこない。

三十路さん
お風呂から上がったら、おっぱいを飲んで睡眠ですか?
ゆうと君
いえ、ここからはお待ちかねのフリータイムです
三十路さん
と言うと?
ゆうと君
本能と言いますか、夜になればなるほど目が冴えるので好き放題遊びます、好き放題寝ます、そして好き放題泣きます。いつもボクが寝ているタイミングを見計らってパパ・ママがご飯を食べるので、臭いがしたらすぐ起きて泣きます。後はあぐらにはまって食事のお手伝い(邪魔)をします

まさにフリータイム。赤ちゃんという生き様の本質を見た気がした。

~00:00~

朝早く起きた事もあり、赤ちゃんは眠りにつこうとしていた。

三十路さん
この生活を365日、辛く無いんですか?
ゆうと君
正直、初めの頃は辞めたいと思った事もある。そろそろ俺も2本の足で歩こうかな、ってね。ただ、生後半年って事、赤ちゃんって何だろうって事なんかを考えて。それからかな、ふっきれた様に泣き叫ぶ様になったのは
三十路さん
パパとママは好きですか?
三十路さん
好きか嫌いかで言えば…好きですね

少し恥ずかしそうに赤ちゃんは答えた。そして照れを隠すかの様に、こう付け加えた。

ゆうと君
これからも、泣きたい時に泣いて、食べたい時に食べて、遊びたいときに遊ぶ。確かにパパからは叱られる時もありますが、言葉なんて解らないので無視を貫きます。無視しても五月蠅い時にはもっと大きな声で泣いてやりますよ

現在、我が家に存在する赤ちゃんはおよそ1人。その多くは好き放題泣き叫んでいるのだという。赤ちゃんの門は決して広く無い、なったあとも容易な物では無い。それでも確かに、赤ちゃんはいた。パパの影に隠れ、ママのおっぱいを掴んで赤ちゃんをするものがいる。

赤ちゃんは、己の欲望を満たすため、今日もまた腕の中で泣く。

~02:00~

腹を空かせた赤ちゃんが泣き叫んだ。

赤ちゃんの朝は早い。

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あとがき

リアルに、こんな生活を繰り返しただけで年末年始が終わってしまいました。

息子と24時間ずっと顔を合わせて過ごす日が何日も続いて嬉しい反面、2人で分担しても大変過ぎて、何度もパチンコ屋さんに逃げ出したいと思いました。

育児、舐めてたら痛い目見ますね(笑)

それでは皆さん。

赤ちゃん_4

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