妻に知り合ったのは2012年の初春、場所は俗に言うネットの世界。
当時アメブロでブログを書いていた私。私が生まれてから今までに起きた物事の全てを文字として残そうと言う思いから、匿名で何一つ飾る事無く書き残していた。ブログ開始から1ヶ月が過ぎ、早くも100を越えようかと言う頃、ブログを取り巻く環境に大きな変化が現れた。
ブログ開始2ヶ月目に訪れた変化
元々、誰かに読んで欲しいという思いが一切無かったこともあり、黙々と過去の出来事を書き続けていた。そんなブログに1件のコメントが書き込まれた。
『初めから全て読ませていただきました。壮絶な人生を送られて来たのですね。どれだけ裏切られても、人を信じる事を辞められない。それは○○さんの長所だと思います、これから良い人との出会いがありますように。』
コメントを見た瞬間に目頭が熱くなっている自分に気が付いた。そして思い出した。ネトゲ廃人時代にネットゲームを介して知り合った友人とは、ネットで知り合ったからという事など関係無く、今でもお互いが面と向かって親友と呼べる関係を続けられている。
ネット上の付き合いと割り切って雑に扱ったり、一定の距離を置いて人と接するのは間違っている。PCを介して向こう側に居るのは私と同じ人間。足跡を辿ってコメントをくださった人の元にお礼を伝えに行った。
視野を広げる事で繋がる人脈
アメブロには色々なジャンルを書いている人が居る。中には私の様に生い立ちや実体験を書いている方も少なからずいて、文字に現れる人柄を頼りにコメントを残し、色々な人との会話を楽しむ様になった。
アメーバピグは出会いの巣窟
アメブロの代表的な機能の中にアメーバピグという物が存在するが、ここは出会い房で溢れかえっている。当時年齢別の規制も存在せず、まさに無法地帯。ピグで出会いを求めるにはリスクが大きすぎるという事だけは声を大にして言いたい。
アメブロで、妻と出会う
ある日友人から、街コンに行きたいから情報を収集して欲しいとお願いされた。アメブロのキーワード検索で[街コン 大阪]と検索。更新順に表示された1番上のページへと足を運んだ。
そこまで詳細に内容は読まぬまま、コメント欄に「街コンって楽しいですか?」と書き込んでその日の情報収集は終了した。翌日、コメントに対する返事を見に行くと「私も行きたいと思うだけで行ってないんです。」との解答。完全に早とちりでコメントをしてしまい、少し恥ずかしい気持ちになった。当然、姿形の見えない相手に特別な感情を抱く訳は無く、そこからは定期的なコメントのやり取りだけが続いた。
嘘でも良いから、もう少し綺麗な馴れ初めを書きたい所ですが、全て実話。
アメーバピグで、妻と急接近
最初のコメントから数ヶ月、定期的なコメントによるやり取りはある物の、別段何か行動を起こす訳でも無く、私と妻は別々の時間を過ごしていた。
話をしてみて解る人柄の良さ
そんなある日、アメーバピグにログインすると妻がログインしていると表示された。これも何かの縁と思いゲームないで妻の家を訪れた。そこには必死に家具の配置を考えている妻の姿。動いているのはピグ内のキャラクター、しかし実際にキャラクターを動かしているのは妻という事を考えると少し可愛く思えた。
ピグを介して2人で会話。趣味の話、ご飯の話、現状私と妻が抱えている悩みなど、本当に色々な事を話した。数時間がアッという間に過ぎた。
妻と実際に会うことに
妻と関わる時間が長くなるにつれて、私の中で『相手が許すのであれば、1度直接会ってみたい。』という思いが大きくなっていた。しかし、現実はそんなに甘く無い。会おうと言った瞬間に崩壊するかも知れない今の関係、連日ピグで話をする事で得られている満足感を失う可能性があるのだ。そんな思いを抱えて過ごすこと数日。妻の口から驚きの言葉が飛び出した。
『1度食事にでも行きませんか?』言うまでも無く、私は2つ返事で快諾した。
ネットで出会う/初めて会った妻の印象
初めて見た妻は『綺麗な顔立ちで、白くて細い』という印象。これだけ綺麗な顔をしているのに、32歳で旦那・彼氏が居ない=どこかに難があるのかな?と、この時は正直思った。
妻が予約してくれていたピアノBarに行った私達は、ピアノの生演奏が行われる店内で、静かにしないとダメという空気感に圧倒されてまともに話が出来なかった。折角会う事が出来たのに、これでは何をしているのか解らないと勇気を振り絞ってカフェで二次会。普通のトーンで会話をしても大丈夫なお店だったので色々な話をした。
距離は随分近付いたが、人見知り2人で何かが生まれる訳も無くその日はカフェでゆっくり話をした後、奥手な私が『大人の何』を起こす訳も無く、最寄りの駅まで送り届けてネットで知り合った妻との初日を終えた。
ピアノBarに行き2人で食事をして以降、アメブロ内でのやり取りに変化が現れ、敬語 × 敬語だった会話が少しずつ変わって行き、軽いジョーダンを言い合える仲になっていた。
食事に誘うも断れる
初めての食事を終えてからは、殆ど毎日仕事が終わってから寝るまでの時間、妻とは一緒にピグで遊んだり、メールで話をした。私の中では既に仲の良い友達。そう信じて止まなかった私は自ら妻を二回目の食事に誘った。
そして無残にも、2つ返事で断られた。
この時程、自分の愚かさを悔いた事は無い。人見知りな癖に人なつこい私の悪い所なのだろうか、友達だと思い2度目の食事も余裕と思い込んでいた自分を心底恨んだ。そう。妻の中では、私はそうゆう対象では無かったのだ・・・。と言うのは冗談。妻は仕事の関係で都合の付く日が殆ど無かった。
相手に合わせる気持ちが生んだ2度目の食事
当時、妻はアルバイトという立場でありながら、毎日2時間の閉店作業をサービス残業でやらされていた。閉店作業をする為にシフトは遅番(14:00~21:00)ばかり。1日丸々の休みは平日に1日だけ。私と遊ぶ云々の前に、空いてる時間が殆ど無かったのだ。
『妻の都合に合わす事で食事へ行く事が出来るなら』と、シフトを教えて貰い、妻が休みの日に私が定時ダッシュして食事へ。我ながら強硬手段ではあったが、もう1度会って話をしたいという思いの方が強かった。
二回目に会った妻は見るからに元気が無かった。「何かあった?」と問いかける私に、妻は申し訳なさそうに言った。
「今朝から体調が悪くて行くか迷ったけど、月に1度あるかないかの食事の機会。キャンセルするのがイヤで、無理して来た。薬飲んでるから平気!!」
必死に笑顔を作る妻にお説教をした。
「ご飯はいつでも行けるから、体調優先しないとダメ!!」
妻は体調不良を押して遊びに来た事で、私に怒られシュンとしていた。私より5つ年上で凄く落ち着いている雰囲気なのに、私に叱られて言い訳するでも無く、シュンとしている妻に好感を覚えていた。
ネットで出会った女性に好感を覚える
出会った場所が『偶然ネット上だった』というだけで、1度顔を合わせてしまえば『街ゆく人に声をかけた』のと変わらない程、人と人との距離は近くなる。顔が見えないからこそ盛り上がっていく気持ちもあれば、顔が見えて初めて燃え上がってくる気持ちもある。
自分の中に『妻への気持ち』を感じ取ってからは、迷うことは無かった。
[tuzuki]告白失敗。振られても諦め切れない私が取った行動