親しい友人(男性)が離婚してから、半年が経過した。
- 年収400万円
- 子ども2人(1歳、4歳)
- 住宅ローン有り(持ち家)
自分の家庭環境・生活環境と酷似していることもあって、離婚前から相談に乗っていて、色々な話を聞かされてきた。
離婚した当初は”自由”を手にして浮かれていたけど、半年経った今は養育費の支払いがキツすぎて1円の自由もないと言う。
友人から聞かされた話は”衝撃的”なもの過ぎて、一般受けしないかも知れないけど、本人の許可を得たので紹介したいと思います。
養育費の相場(裁判所発行の養育費算定表に基づく)
養育費とは、子どもが成人するまでの養育にかかる費用を月々もしくは一括で、養育しない親(義務者)から養育している親(権利者)に支払われるものです。また、養育費の額は①子どもの数・年齢、②年収や財産などによって大きく異なります。
養育している親(権利者)の年収を200万円とした場合、養育しない親(義務者)の年収毎の養育費額はおおよそ下記の通りとなります。
※参考資料:東京家庭裁判所/養育費算定表
子どもが1人の場合
年収 | 0歳~14歳 | 0歳~15歳 |
300万円 | 2~4万円 | 2~4万円 |
400万円 | 2~4万円 | 4~6万円 |
500万円 | 3~5万円 | 4~6万円 |
600万円 | 4~6万円 | 6~8万円 |
子どもが2人の場合
年収 | 0歳~14歳 | 0歳~15歳 |
300万円 | 2~4万円 | 4~6万円 |
400万円 | 4~6万円 | 6~8万円 |
500万円 | 4~6万円 | 8~10万円 |
600万円 | 6~8万円 | 10~12万円 |
年収400万円で養育費を支払いながらの生活
年収400万円の手取りは約290万円~330万円程度。冒頭で紹介した友人の手取りは月々25万円です。※ボーナスは月割で加算済み
- 養育費 :60,000円
- 家賃 :60,000円
- 住宅ローン:30,000円(※1)
- 光熱費 :10,000円
- 通信費 :10,000円
- 定期代 :10,000円
これだけで毎月18万円。手元に7万円も残ると聞けば、それなりの暮らしができそうに思えるけれど、内訳の3万円はボーナスを月割で加算したもの。毎月手元に届くお金ではない。
朝から晩まで汗水垂らして働いて、手元に残るのはたったの4万円。
食事や衣類など自分にかかるお金はできる限り抑えて、月に2回、子どもと会える日におもちゃを買ったり、遊園地に連れて行ったりするのだけが唯一の楽しみ。だと友人は言っていた。
(※1)任意売却後に残った住宅ローン
上記した毎月の支払いに”家賃”と”住宅ローン”が含まれているのには理由がある。
離婚をするとき、持ち家を売却することでローン完済を目指したけど、査定額がローン残額を下回ってしまった。そのため、いわゆるオーバーローンの状態で任意売却をした。
任意売却後は毎月の返済額が少なくなったけど、それでも毎月30,000円の返済を続けている。なので、現在住んでいるマンションの賃料と、以前住んでいた家のローン返済の2つが毎月固定費として出ていっている。
離婚した男性から聞いた印象的だった話
ここからは友人から聞かされて、とても印象的だった話をしたいと思う。
※色々な意見があると思うけど、友人が理由で離婚したわけではないから、できることなら私の目にとまる場所では友人を否定するようなことはしないで欲しい。
養育費は子どもを育てるのに不十分過ぎる金額
たったの3年だったけど、子どもを育ててきたから、子育てにどれだけ多くのお金が必要なのか?くらいはわかっている。子どもが大きくなって進学する頃には、今よりもっと多くのお金が必要になることくらいわかっている。
例えそれが、自分の見えない場所で使われているお金で、子どもが嬉しそうにしている姿を見ることができないのだとしても、1円でも多く渡してあげたい。例えそれを、元妻が使っていたのだとしても、1円でも多く渡してあげたい。
そう思っているのに、これ以上の金額を渡してあげることができない。
支払う側にとっては、自分の生活を左右するくらい大きな金額なのに、受け取る側にとっては子どもを育てるために決して十分とはいえない金額。それが養育費。だから、支払いを拒否して逃げる人もいれば、前借りしたいと催促する人もいる。
今の生活が20年続くのかと思うと死にたくなる
毎月4万円の所持金から始まって、スーパーのお惣菜コーナーで50%オフのシールが貼られるのを待つ生活。タバコとお酒はお金がないから辞めた。会社の付き合いは友人との食事は全て断るようにしている。
それでも、毎月子どものために使ってあげられるお金は10,000円にも満たない。
任天堂スイッチが欲しいという上の子に「お金がないからクリスマスまで我慢してね」と言わなければいけない辛さ。情けなさ。不甲斐なさ。
子どもに「今日はパパと寝る」と言われても、連れて帰ることすら許されない。誰のために働いて、何のために生きているのかもわからない。こんな生活が20年(子どもが成人するまで)も続くのかと思うと、本当に死にたくなるときがある。
離婚する前に考えて欲しいこと
似たような家庭環境にある私に対して、友人は「離婚する前に考えて欲しいこと」を教えてくれた。
離婚後の生活をリアルに考えた方が良い
義務者にあたる人は、自分の月収から養育費を差し引かれたあとの金額での生活。
権利者にあたる人は、子どもを育てながらパート勤務などで得られる給与に養育費と母子手当を足したあとの金額での生活。
一定の収入を確保できる仕事に就いていたとしても、1人で子どもを育てながら働き続けることは容易なことではない。離婚後には多くの場合で、どちらも決して楽とは言えない生活を送ることになってしまう。
「離婚したい」と思ったら、冷静に離婚後の生活をリアルに考えてみた方が良い。そのために必要な情報は市役所などでも教えてもらうことができる。感情論を抜きにした客観的な意見を参考にした方が良い。
とにかく、1度は冷静に考えてみて欲しい。
「離婚して幸せ」は万人の意見ではない
SNSや情報交換サイトで「離婚して良かった」と声をあげる人は少なくない。
私だって、離婚した当初は明るい未来しか想像していなかった。周りにも「離婚して良かった」と言い回っていた。でも、それは上記した理由から数ヶ月と続かなかった。
「離婚して幸せ、不幸せ」という意見は「結婚して幸せ、不幸せ」という意見と同じ。渦中に居る人達の今の気持ちを表現したものに過ぎない。良いときの発言はキラキラしていて、悪いときの発言はドロドロしているだけ。
結局のところ、離婚して数年後に幸せなのか?不幸せなのか?は誰にもわからない。
それでも決意が揺るがなければ離婚すれば良い
もちろん、何も「離婚してはいけない」というわけではない。
私自身、元妻のある行動を理由に離婚することになった。離婚する前にこの記事を見かけて、離婚後の生活をリアルに想像していたとしても、結果は変わらず、離婚していたと思う。
愛も情も枯れ果てて、関係を維持する口実に子どものことを追加しても、それでもダメなときは何をやってもダメ。そんなときは、素直に離婚すれば良い。離婚後に幸せだと感じる時間を作る努力を惜しまなければ、いつかきっと幸せになれると思う。
将来の生活を打算的に計算して、結婚生活を続けていくことに対するデメリットと相殺することができなくなったら、結婚生活はおしまい。逆に言えば、離婚後の生活に対する不安が勝るのであれば、離婚せずに結婚生活を良くしていく(相手に歩み寄る)方法を探せば良い。離婚を先延ばしにして、不安を消し去るに値する行動を起こせば良い。
あとがき
会話の終わり際に、友人は「離婚の原因と言われていることの多くは、離婚を決断した理由でしかない。何年も連れ添った相手との夫婦関係において、相手方が100%悪いということは殆どない。離婚を決断する理由を作ったのは元妻だけど、お互いが時間をかけて積み重ねてしまったマイナスが招いた結果なんだと思う。そう考えると、子ども達には申し訳ないことをしたなと思う」と言っていた。
誰かに聞いて欲しかっただけなのか、私の現状を見かねた友人なりの助言だったのか。その真意はわからないけど、リアルタイムで悩みに直面している人の本音を聞けて本当に良かった。