パソコンはインターネットを使う程度という友人から「今の仕事は先(何歳まで続けられるか)が見えないから、プログラミングを学ぼうと思っている」という相談を受けました。
全くの未経験からIT業界に飛び込み、システムエンジニアとして13年働いてきた実務経験と、凄い早さで進化を続ける業界の現状をもとに「稼げるようになるのか?」や「何年かかるのか?」などに答えていきたいと思います。
※プログラミングスクールの紹介記事ではありません
記事内におけるプログラミングの意味
私はWEBサイトを構築、管理システムの組み込み、人工知能(AI)の開発などを行っていて、いずれも異なる複数の言語を用いてプログラミングしていますが、少し前に話題になったビジュアルプログラミング(Scratch)はできないし、ロボットや機械を動かすこともできません。
プログラミングしたい「もの」によって、覚えるべき言語も違えば環境も違ってきます。アメリカでの生活を夢見ているなら英語、スペインならスペイン語、といったように、目的に応じて覚えるべき内容が異なります。
本記事では「プログラミングの中では簡単な方」であるWEBサイト構築(PHP, HTML, jQuery, CSS程度)の知識を深めると稼げるようになるのか?何年かかるのか?を解説していきたいと思います。
友人(プログラミング未経験)の情報
- 年齢:28歳(独身)
- 性別:男性
- 職業:ブルーカラー
パソコンはYOUTUBEを見るときに開く程度で、Microsoftアプリ(エクセルやワード)なども触ったことがない。プログラミングの知識は0で、プログラミングとは何なのか?すらもわかっていない全くの未経験者。
※プログラミングにMicrosoftアプリが必要という訳ではありません
知っておきたいエンジニアの実情
エンジニアになると稼げるの?
何かエンジニア=高給というイメージをもっている人は少なくないですが、本当に高給なのは一部のエンジニアだけ(電通に勤めていてGoogleに転職、独立して法人化して~。という人達は稼いでいると思いますが、その場合の多くは既にエンジニアではありません)です。
給与形態は業界を通して見ると普通~少し低い程度だと言われています。
※給与額ベースではなく、労働時間に対する対価として考えた場合
エンジニアは激務(ブラック)って本当?
デジタルどかたと呼ばれることの多いエンジニア業ですが、パソコンやソフトの性能・スペックが凄い早さで進化していることもあり、昔ほど激務だと感じることはなくなりました。
プログラミングには人力を自動化して業務効率化を計る。という考え方があり、自らの業務にそれを活かすことができる人ほど効率良く仕事をこなして自分の時間を作っています。逆に、自らの業務に活かせない人、活かすことを許さない職場・環境に身を置く人は昔と変わらず激務です。
- レジで立ちっぱなし
- 営業先でクレームを受ける
- 炎天下で土木工事
- 酔っ払い相手の運転手…など
私の価値観では「形は違えどいずれの仕事も激務」だと思っているので、エンジニアだけが突出して激務ということはないと考えています。
エンジニアってモテるの?(小休止コーナー)
冗談みたいな話ですが、友人に聞かれた質問なので答えておきます。
プログラミングをはじめたおかげで妻と出会いました!結婚して子どもを授かりました!副業や趣味の時間も作りながら楽しい人生を送っています!
全てはプログラミングのおかげです!プログラミングありがとう!
(小休止おわり)
プログラミングができるまでに何年かかる?
友人から1番に聞かれた質問から答えていきます。実際、プログラミングに興味をもっている人の多くが気になっている「プログラミングが武器になるまでの年数」ですが、これは明確な答えがありません。
かなりの個人差(システム的な考え方に対する向き不向き、覚えることに対する向き不向きなど)があります。
私が入社した頃は超が付くほどブラックな環境だったので、vb.net(当時の開発言語)の参考書を1冊渡されて独学。誰が教えてくれるわけでもなく3ヶ月後には現場に投入されました。
2年経ってもまともに1行すら書けない人
ウチの会社にシステムエンジニア志望の完全未経験で入社してきた新人君。入社してからもうすぐ2年が経ちますが、未だにループ処理や配列などで躓いていてコードを書くところまでいってない状態です。
7.5時間 * 240日 * 2年 = 3,600時間
※年間の平日数を240日で仮定、09:30~18:00(昼休憩1時間)の1日7時間半労働。
3,600時間には他の業務(雑務)の時間も含まれていますが、割合は多くありません。これだけの時間を割いても、未だにプログラムのコードをかけない人もいます。
3年が経過した新人君の状況
新人君が入社して3年が経ちました。簡易的なコードをかけるようにはなったものの、新人君の意向(プログラミングに向いていないという自覚)もあって、今は雑務がメインでプログラミングはオマケ。そんな状態になっています。
新人君のキャリアとして「本当にそれで良いの?」と何度も問いかけましたが、向き不向きを覆すだけのモチベーションを維持し続けることはできなかったようです。
意欲と目的をもって密に過ごせるか次第
向き不向きによる個人差があると書きましたが、それ以上に大切なのはプログラミングへの興味を維持できるかどうかです。
勉強における成長曲線は時間と成果が比例しません。何かひとつの「できた!」で階段を上り、次の「できた!」でまた階段を上るような曲線を描きます。できない状態が一定時間続いたあとに「できた!」がやってくる、誰もが経験ある自転車の練習みたいなものです。
比例しないものだからこそ気持ちを維持することが難しく、多くの人が挫折してしまいます。
プログラミングって副業に活かせるの?
プログラミングへの想いを絶やさずに1年~5年(個人差)続けられれば、副業として活かすことはできますが、副業前提では、あり得ないくらい単価が安いからオススメはしません。
クラウドワークスやランサーズに掲載されている案件を普通にこなした場合、1日(7.5時間)1万円あれば良い方です。しかも、多くの案件に対して数十人が申し込みをしています。
更に、クラウドワークスやランサーズでは受発注に対する評価システムが導入されているため、「副業で仕事を受注したい」と思って作成した新アカウントは相手にされないことが多いです。
発注側から相手にしてもらうため(仕事をもらうため)には単価勝負してでも実績を作るしかなくて、結果、仕事を取れたとしても赤字(技術職なのでマイナスはないけど、作業量と費用が見合わない)になります。
サイト上での実績があって、テンプレートや雛形となる開発基盤を既にもっている人であれば利益を出せますが、プログラミングを勉強して副業的に(ロクな実務経験なし)で稼げる可能性は極めて0に近いと断言します。
本当にプログラミングがしたいなら本業にするべき
全く畑が異なる仕事をしながら、片手間にプログラミングはハッキリ言って無理です。溢れるセンスで数年かけて形になったとしても、今の業界はガラッと姿を変えてしまっていることでしょう。
いまの仕事に不安があって、プログラミングに興味があるならIT企業に転職です。片手間ではなく全力でプログラミングに接してはじめてスタートラインです。
業務としてやるからには「成長曲線の伸び悩み時期だから休憩」は通らない。という点からも本当にプログラミングがしたいならプログラミングを本業にするくらいの気持ちで頑張ってください。
プログラミングに没頭できる環境に身を置いた人なら、早い人で1年、遅く人でも3年以内には最低限のプログラミングができるくらいにはなれることでしょう。