育休取得の意思を上司に伝えたのは、2人目の出産予定日4ヶ月前。
そこから会社や上司と揉めて、決着が着いたのは出産予定日2週間前。
誰よりも大切な妻に寄り添い、何よりも可愛い子供と過ごす。たった1週間の休暇。
何がダメなのか全然わからない。
国が助成金を出すとまで言っても、一向に取得率が上がらないのは「子育ては女の仕事」だという世界観で育った人達が会社の中核を担っているからに他ならない。
別に権利を主張したい訳ではない
別に『労働基準法や育児休業法で定められているから』や『就業規則で定められているから』などと権利を主張したい訳ではない。権利を主張するなら、真っ先に残業代がでないことを主張する。
育休取得は『2人目を出産してすぐ、妻が上の子の面倒を見ることは不可能。だから、父親である私が仕事を休んで面倒を見る』という至ってシンプルで、至極当たり前な理由。
権利とかそんな理屈っぽいものではなく、親として家族として当たり前の目的を持って休むだけ。
上司に提案した育休取得の条件と妥協案
自分が仕事を休むことで会社、お客さんに与える影響は理解しているから、育休の申請を行う際にはある一定の条件を出した。
育休の期間は最低1週間
育休の期間は、妻が出産してから退院するまでの期間。
- 通常分娩であれば1週間前後
- 帝王切開であれば10日前後
母子どちらかに何かしらのイレギュラーが起こった場合は要相談。ということを伝えた。
育休中は自宅で仕事をする
子育てしながら10の仕事をできる訳はないけど、朝晩の時間を使って自宅で仕事をする。
- 保守、サポート
- サーバーの管理
- ドキュメント制作
- システム開発
その他必要に応じて可能な限り対応する。勿論、全日休み扱いにしてくれていい。ということを伝えた。
耳を疑った上司の言葉
上司から出てくる言葉は、どれも手が出てもおかしくないレベルの物ばかり。
保育園とか、託児所に預けられないの?
私 :「2人目が生まれた日から、妻が退院するまでの間、子供を見ておく人が居ないので育休を取らせてください。」
上司:「子供2歳やっけ?保育園とかに預けたりはできないのかな?」
私 :「守口市は保育園や幼稚園、保育士さんの確保をしないまま、無責任に無償化したせいで、どこの園にも預けることができませんでした。勿論、市役所で聞いてきました。」
上司:「…託児所とか、無認可の所に預けたりは?」
私 :「託児所、認可、無認可の違いをどこまで理解して言っているのかは知りませんが、一時保育的な意味で言っているなら、京阪沿線前後3駅にある施設は殆ど回りました。そもそも、2歳の息子を人に預けることに否定派なので、預けても良いと思える場所はありませんでした。」
上司:「…ちょっと色々考えてみるね。」
祖父母に仕事休んで貰ってとかは?
上司:「あれから色々考えてみてんけど、どっちかの祖父母に見ておいてもらうとかは難しいのかな?」
私 :「私、妻共に父親は亡くなっていていません。どちらの母親も旦那に先立たれた後、生きていくために仕事をしているからムリです。」
上司:「…お母さん達に仕事を休んで貰うとかは難しいかな?」
私 :「今の仕事をして生活するのがやっとな祖母二人に、孫が産まれるから仕事休んで。とは言えません。というか、ありえません。」
上司:「…。」
会社に連れてくるとかは?
上司:「会社のサーバールームをキッズスペースみたいにして、会長に面倒みててもらうとか?」
私 :「2歳の子供が朝から晩までサーバールームで機嫌良く遊んでると思いますか?入院している妻の見舞い、荷物運んだりは誰が代わりにしてくれるんですか?」
上司:「…。」
ウチ(上司)の嫁が見とくから
上司:「あれから嫁とも話してみてん。毎日はムリやし、朝イチに家まで連れて来てくれることが条件にはなるけど、嫁が1日くらい見とくでって言ってた。」
私 :「いや、親兄弟に迷惑かけるのも気兼ねするのに、上司の奥さんに迷惑はかけられないのでお気持ちだけで。」
上司:「いやいや、ホンマ。見とくで!」
私 :「育休取得の意思を伝えた時点で、妻には産後1週間は必ず休むって言ってあるんで大丈夫です。」
上司:「…。」
男性の育休申請は退職覚悟
会社(社長)は「理由が理由だから仕方ない、休んでいいよ」というスタンス。
社員のことを本気で考えてくれているからなのか、「育休は取らせない」とは言えない立場だからなのかは不明。個人的には社員のことを考えてくれた結果だと思っている。
上司は「何とかして休まないようにもっていきたい」というスタンス。
過去の付き合いから察するに、社員のことを考えていない訳ではない。どちらかと言えば大事に考えすぎて破綻するタイプの人。今回は、ただ単純に「仕事を休まれると困る」から必死にあの手この手(結果ロクでもない提案)を試そうとしているのだと思う。
育休の意思を伝えた後の4ヶ月は、常に退職の二文字が頭の中にあった。勿論、勢いで退職して収入を無くす訳にはいかないので、実際に辞めたときのこともシッカリと考えた。
たった1週間程度の休暇を取るだけで、職を失うことまで考えないといけないなんて、おかしいよね。
子育てしてない偉い人達には分からないんだよ
子供を産むことがどれだけ大変なことなのか、子供を育てることがどれだけ大変なことなのか、家族の側に居てあげることがどれだけ大切なことなのか。
同じ子を持つ親であるハズなのに、何で偉い人達には分からないんだろう。
きっと、「自分は家族のために働いているから」という身勝手な理由を盾にして、妻に任せて、祖父母に任せて、他人に任せて。自分では子育てをしてこなかったからわからないんだろうね。
糞みたいな世代を相手にしないといけない、今の世代は大変だ。
男性育休のデメリットなんて気にしない
男性育休の取得には常に『社内での立場が悪くなる、出世に影響する』というデメリット(風の噂)が付いて回るけど、こんなことは気にするべきではない。
会社が「お前は気に入らない」というのなら、次の仕事を見つけてから、最も困るであろうタイミングで辞めてやれば良い。
『収入が下がる』という問題は気にしなくていいとは言えないけど、1週間くらいの休みなら有休消化して貰えるようにダメ元で頼み込めば良い。ムリだったら仕方ないけど、何もしないよりは絶対にいい。
こんな些細なデメリットなんかより、一番大切な時期に家族と過ごすことの方が何倍も何十倍も大切なこと。
男性育休の取得率が上がることはない
『男性育休の取得率を上げたい』と本気で思っている人は誰だろうか?
男性育休を推奨している人達の多くは「推奨しているから入社してね」や「推奨しているから清き一票を投票してね」など、先の隠れた目的を達成するためのポーズとして扱っている。
結局のところ、男性育休の取得率を上げたいと本気で願っているのは、子育て現場で奮闘しているパパとママ。そして、生まれてくる小さな子供だけ。
だから、男性の育児休暇取得率が10%、20%、30%と急激に上昇していくはないだろう。
あとがき
これからも上司とのビジネスライクな関係を続ける為、1週間の育児休暇を取得するという要求が通りさえすれば、道中のやりとりは綺麗サッパリ忘れることにする。
それが自分のためであり、妻のため、子供のためと言い聞かせて。
親になる瞬間は人生でそう何度もある訳ではない。腹の中では「育休とかあり得ない」と思っていたとしても、1週間くらいなら気持ち良く休ませてあげることが、社員やその家族のためであり、結果的に会社のためになるという発想に至る会社が1つでも増えますように。