下の子(0歳)が肺炎で緊急入院したとき、病院側から2つの選択肢を提示された。
- 通常入院(15時~19時までの面会)
- 24時間付き添い入院
親として本当に苦渋の決断ではあったけど、結果だけを見れば、毎日15時~19時で面会に行って付き添う方を選んだ。そして、激しく後悔している。
24時間付き添い入院できなかった理由
自責の念を和らげるために、24時間付き添い入院を選ぶことが出来たかった理由(言い訳)から書かせて欲しい。
下の子が肺炎で緊急入院になったとき、ウチの家庭内環境はお世辞にも良い状態とは言えなかった。1ヶ月前に家族全員が患った感染性胃腸炎から完治することなく、家族それぞれが何かしらの体調不良に悩まされていた。
上の子(2歳)は風邪の症状を何度も繰り返していて、当日は38.7度の発熱と咳がでていた。
子どもの体調回復優先で自分を蔑ろにするより他に選択肢がなかった妻は、合間に相談した内科2つ、耳鼻科1つで症状が改善することはなくて、1度出はじめると数分間止まらない咳に2ヶ月以上悩まされていた。
私はシンドイと言える立場ではないものの、慢性的な寝不足と地震の後遺症で精神的にかなり弱っている自覚はあった。
ワンオペで全てを補うのは不可能だった
入院病棟への立ち入りには条件があった。
- 両親に限る
- 健康であること
一部、申請を出せば祖父母の例外を認めて貰える可能性もあったけど、入院時点では『健康状態に異常がない、両親に限る』という条件があった。
この時点で、四六時中、咳をしている妻は選択肢に入ることができなかった。24時間付き添いできる可能性があるのは、私1人しかいなかった。
仕事だけで考えると、クビになる覚悟を決めれば24時間付き添い入院をしてあげられたのかも知れないけど、24時間病院から出られない生活をしながら、体調不良の妻・上の子のケアをすることなど出来るはずもなかった。
いずれも蔑ろにできないものばかりだったからこそ、全てをまんべんなくケアしてあげられる方法を選んだ。それが通常入院だった。
24時間付き添い入院にしておけば良かったと後悔
下の子が入院している部屋には、同じ様な症状で苦しんでいる小さな子ども達が10人~15人程度入院している。
病室に常駐してくれている看護師さんの数は、面会可能時間を見る限り3人~5人程度。食事の時間が近くなると保育士さんが数人やってきて、見回ってくれている。
面会時間になると看護師さん達は親御さん達への経過報告、吸入や吸引などの処置をするため、本当に忙しそうに慌ただしく頑張ってくれている。そのため、親御さんが面会に来ていない子ども達はベッドの上でただただ泣いていることが良くある。
これはもう、仕方のないこと。
24時間付き添い入院にしておけば良かったと後悔している理由は、そんなことではない。
泣きながら笑う子どもの姿
面会時間になってすぐ病室に入ると、下の子は泣いていた。右手には血中酸素を計るための機材、左手には厳重に固定された点滴、鼻には酸素を吸入する機材、誰の目からみても重傷。
そんな状態であるにもかかわらず、私の姿を見つけた下の子は、ボロボロと大粒の涙を流しながら、満面の笑みを浮かべてくれた。
私の心はチクリと痛んだ。
離れる瞬間に涙する子どもの姿
面会時間が進むに連れて下の子の機嫌はどんどん良くなっていった。「離乳食初期ってこんなに食べるの?」と言いたくなるくらいたくさんのご飯も食べてくれた。そして迎えた、面会終了の時間。
ほとんど全てのベッドから聞こえてくる子ども達が本気泣きする声。下の子も例外ではなく、こちらを見ながら大きな声で泣いていた。
私の心は壊れそうになるほど痛んだ。
これが連日続くのかと思うと、心から24時間付き添い入院を選べば良かったと感じた。
24時間付き添い入院でなくて良かったと思う自分もいる
入院初日は病院から家に帰っても、落ちた気持ちを高めることができなかった。本当に後悔しかなかったけど、1日、2日と入院日数を重ねる毎に、若干の気持ちの変化があった。
毎朝5時台に起きて仕事に向かい、14時に退社して15時から面会。19時に病院を出て、家に帰ってからは残った家族のケアと持ち帰った分の仕事。
そんな生活をしていながらも、面会時間の15時~19時はいつも下の子に笑いかけてあげることができた。周りに迷惑をかけない程度のボリュームで、手遊び歌などで遊んであげることができた。
下の子が声を出して笑う姿を何度も見ることができた。
「24時間付き添い入院していた場合でも、同じように笑顔を作ってあげることができたのかな?」って。そう考えると「決められた時間だけでも全力で楽しく笑って一緒に過ごしてあげられて良かったのかな?」って。
そんなことを考えると、24時間付き添いをできなくて、逆に良かったのかなとも思う。
8日間の入院を経て退院できた今思うこと
まず、真っ先に思うことは「家族にとって最も大切なのは、家族全員の健康」だということ。
子どもが生まれてからは「子どものことばかりを優先」してきたけど、子どもが体調不良になったとき、親も同じように体調不良だと、全ての物事が回らなくなってしまう。
今回は、辛うじて私が動ける状態だったけど、両親共倒れなんて考えるだけでゾッとする。
次に思うのは「子どもの死」を意識して初めて気付いた親の脆さ。
緊急入院したときは血中酸素の数字が極めて低く、看護師さんの言いぶりは少なからず「死」を想像させられるものだった。
子どもが軽い怪我や風邪で苦しんでいるとき、幾度となく口にしてきた「代われるものなら、代わってあげたい」という言葉は出てこなくて、ただただ、子どもに笑いかけながら祈ることしかできなかった。
祈ることしかできない自分への歯がゆさを感じると同時に、同じことを繰り返さないように、しっかりと対策しなければいけないと思った。
最後に思うのは「周りの人達の優しさ」への感謝。
親戚が上の子の面倒を見てくれていたなど、直接的な優しさには、もちろん感謝しかないけど、それとは別に今回は、顔も知らない名前も知らない人達の優しさを知った。
「入院するかも知れない」という記事を書いた後だったので、心配する声を沢山いただいていましたが、精神的にも肉体的にも、時間的にも全く余裕がなくて、ブログ関係一切の運用を停止していました。
「大丈夫ですか?」と声をかけてくれたり、少しでも症状を軽くできるかも知れない方法や、自分の子どもが入院したときのことを教えてくれたり。
子育てブログを書いていなければ、絶対に交わることの無かった赤の他人に対して、優しくしてくれる方の多さに驚きました。ありがとうございました。
直近10日ほどの間にメッセージやコメントを下さった方、全て目は通していますが、返信まで至ることができずに放ったらかしでスミマセンでした。ありがとうございました。
今はとにかく子どもの無事に感謝
8日間の入院を経て、無事に退院することができた下の子。
退院おめでとう。
これからはずっと家にいてね。
これからはずっと家にいられるように頑張るね。
無事に退院してきてくれて本当にありがとう。