子育てを始めるよりも少し前、誰しも一度は『五体満足で生まれてくれれば、それで良い』と願います。親としての心の叫びにも似た感情は、子育てに本気で取り組んでいけばいくほど心の奥底に深く沈んでしまいます。
大切なこと、忘れてませんか?
親が子どもの成長を喜ぶのは当たり前
子どもが生まれて間もない頃から、子育てに悩む日々が始まります。寝返りひとつ取ってみても『他人から見れば、些細な事』かも知れませんが『初めて子どもを育てる親にとっては、大問題』です。
月齢が進んでも上手に寝返り出来ない事を不安に思い、必死にネットを調べたり先輩パパママの話を聞いたりしながら、我が子が初めて寝返りをした瞬間には『人生最良の日』と言わんばかりに喜びます。
しかしながら、その喜びは長続きはしません。
子育ては悩みと喜びの繰り返し
人生最良の日から数週間後、次の課題が出来ない事に悩む親の姿がそこにはあります。あれだけ頑張れと応援していたにも関わらず、1度出来るようになればそれは『出来て当たり前』の物となり、子どもに対して次の成長を求めます。
幼児期の発達は『いずれ出来るようになる』可能性が高い物ばかりなので、親が抱く出来て当たり前の感情を表に出しても、大きな問題にはならないでしょう。しかしながら、子どもが大きくなるにつれて、親の当たり前が成長を妨げることになります。
出来て当たり前なことなど無い
ハイハイを覚えて、あんよが出来る様になって、おしゃべりも上手になって、次は何を悩みましょうか。勉強ですか?スポーツですか?
- 「パパは~」
- 「ママは~」
- 「友達のA君は~」
- 「お兄ちゃんは~」
そんな風に誰かと比較しながら、出来ないことはダメなことと決めつけて、子どもの個性は無視して悩み喜びを繰り返しますか?
「勉強が出来て、スポーツ万能、人当たりも良くて」なんて人は漫画の中でしかみた事がありません。血の繋がりがあろうとも「親が出来ること=子どもが出来ること」とは限りません。子どもは親のコピーでも無ければ、自分の夢を引き継ぐ道具でもありません。
子どもは子ども、親とは全く異なる1人の人間です。あれは出来るけど、これは出来ないが当たり前。人間は不完全な生き物です。
出来なくて困る物では無い
広い範囲で学校と呼ばれる場所は、通信簿が物語る通り「勉強や運動が主に評価される場所」であることと、周りには同世代の子ども達(恰好の比較対象)が沢山いることを理由に、勉強が出来ない、運動が苦手という判断基準で子育てに悩む人は多くなります。
しかし、勉強や運動は『出来るか出来ないかを自由に選べるのであれば、そりゃまぁ出来た方が良い』程度な物でしか無く、出来ないからと言って個人を否定される様な物ないです。
人間力は立派な長所
生きていく上で欠かせない、人間力は何物にも負けない立派な長所です。
- 人に優しくすることが出来る
- ひとつの物事に没頭出来る
- 自分の考えをしっかり持っている
- 考えを行動に移すことが出来る
今は小さな子どもでも、いずれは大人になり社会に出て、結婚して子を産み親となります。そんな時に「勉強が出来た、スポーツが得意」なんてことだけで食べていけるのは一握りにも満たない人達だけであり、そこに人間力が兼ね備わっていなければ何にもなりません。
子育てで大切な3つのこと
子育てで大切なのは、何でも出来るように育てるではありません。
親の当たり前を押しつけないこと
「親が出来たことは、全て自分にも出来る」なんて妄想を抱いているのは思春期真っ盛りのガキだけです。「親に出来たことでも、自分には真似出来ないことがある」のが当たり前。
自分=子どもでは無いので出来なかったことが上手に出来たら褒める。これでもかって言うくらい褒める。出来なくても「いつか出来る様になれば良いな」と子どもに圧をかけることなく長い目で見守ってあげてください。
可能性を広げる環境を作ってあげること
何事もやってみないと『長所かどうか?』を見極めることは出来ません。
少し前に掃除機が大好きすぎる子どもがテレビに出ていました。親御さんは誕生日からクリスマスから掃除機を欲しがる子どもを否定することなく、子どもの部屋には大量の掃除機が置かれていました。嬉しそうに掃除機を触る子どもの口から出た「将来はダイソンを超える掃除機を作りたい」という言葉を聞いた瞬間、同じ親として素直に頭が下がりました。
親の感性で頭ごなしに否定することは簡単ですが、親としての器量は子どもの個性・可能性を潰すこと無く、広げられる環境を作ってあげることです。金銭面・精神面含めしっかりと準備をしてあげてください。
人間力の種を植えること
コンビニのレジでやたらと偉そうにする人間力の低いバカ、あれは人間力が育つ機会が無かった人達です。人生で関わった全ての人・物から経験として得た物が人間力を育てる訳ですが、一番初めに経験を与えるのは親の仕事です。
我が家では1歳になった息子と遊ぶ時は「ちょうだい、ありがとう」を何度も繰り返しています。まだ上手に『ありがとう』は出来ませんが、少なくとも『ありがとう』の種は植え付けているつもりです。
将来、子どもが大きくなった時に花を咲かせるかは誰にも解りません。彼女の影響で「ありあーっす!」とか訳の解らないありがとうにならないとも限りません。それでも、種が無ければ花が咲くことは無いので、人間力に繋がる可能性がある種を巻いています。
忘れちゃいけない五体満足という幸せ
『五体満足で生まれてくれれば、それで良い』と思っていたのは、他の誰でも無い自分自身。ちょっとくらい勉強が出来なくても、スポーツが苦手でも、死ぬわけじゃありません。「嫌がるから、やらせない」はダメですが、「十分にチャレンジした」のであれば、結果は良くても悪くても構いません。そもそも、良いか悪いかを決めるのは親では無く、本人です。
親も人間なので子ども相手にカッとなる日もあるでしょう。そんな時は『少し肩の力を抜いて、生まれてきてくれてありがとう』を思い出して下さい。その上で「それとこれとは話が別」という問題であれば、子どもが泣こうが喚こうが『ダメなことはダメ!!』としっかり教えてあげてください。
子育てに本気で取り組んでいるからこそ、忘れてしまう『生まれたことへの感謝の気持ち』と『少し肩の力を抜いて考える』という2つの大切なこと。忘れそうになった時は、好き勝手やってきた三十路男なんかでも、子を持ち親となることが出来たって考えると、大抵の事は何とかなると思えますよ。(笑)
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